ヤブマメ・美味しい・不思議!《家庭菜園周辺の役に立つ雑草》

美味しくて、不思議な植物
【ヤブマメ】

横長にすると、スマホで見やすくなるかと思います。すみません。
ヤブマメとは
作物以外の、勝手に生えてくる草は雑草と呼ばれ、畑の邪魔モノ扱いです。
でも、
自然農法では、生物相の正常化や、
土壌の改善に重要な働きをするなくてはならない存在です。
そして、そればかりではなく、
もっとダイレクトに役に立つナイスな雑草も数多くあります。
今回は、ヤブマメをご紹介します。
ヤブマメ 外見

ヤブマメ(藪豆)
(学名:Amphicarpaea edgeworthii Benth. )は、
よくみかけるマメ科のつる性一年草です。
並みいる雑草の中では、ツルが細く、葉も薄く全体的にひかえめな印象です。
そして、その見た目にダマサレる植物です。

かぼそいツルは丈夫で、めったなことではちぎれません。
野菜用のネットに、ソッとはいのぼってきますが、
楚々としたたたずまいに、危機感がなく、ついつい放置してしまいがちです。
そして、気がついて時には、もう…。という雑草です。

からみつかれたネットの撤去時は、
ちぎれないし、地面にしっかり根付いていて
はがしにくいよー。

お役立ちポイント
【鑑賞】 花がとてもキレイで癒されること
【食料】 食用として、かなり美味しいこと
【希代】 繁殖方法にちょっとビックリできること
【鑑賞】ヤブマメのきれいな花

9月ごろ、マメ科らしいきれいな花を咲かせます。
2㎝前後と小さいものですが、数株まとまって咲いていると見ごたえがあります。
この時期は、雑草の勢力が旺盛で一番厄介な時期です。
フル回転の草取りで余裕がないのですが、つい、見とれてしまう魅力があります。
もしかすると、

「私、キレイでしょ。だから切らないで!」
というアピールなのかも…!
…したたか…。
【食料】採取法・調理法

食用の豆のでき方と採取法
地上部のさやは違います

注意!
ヤブマメの地上のさやは食べません
花が終わると、ツルに写真のような豆ができます。
エンドウや小豆を思わせるかたちです。
よく似た植物に、ツルマメがありますが、
そちらは、さやの形が大豆っぽいです。


ヤブマメや、ツルマメは、それらの豆の原種らしいです。
しかし、ヤブマメの食用の豆はこれではありません。
土の中にできています。

さやには、とても小さい豆ができるよ。
若いうちは、さやごと食べることもできます。
採取の場所は、土の中
ヤブマメは、
ネットや支柱、ほかの背の高い植物に絡まって生きています。
ツルをたどり、引き抜いたり
根が広がっていると目星をつけたあたりを、掘ってみます。
支えになっている植物ごと引き抜き、露出した土を掻いてみるのも掘りやすいです。

そんなに深いところにはありません、2~7㎝の深さといったところです。

粗めの、くまでのような道具も便利です。
土から顔をのぞかせたマメ



土を掻き出していると、1㎝前後の、紫の色味のある豆が出てきます。
未熟なものは小さく、白っぽいです。
それが、食用になる雑草の豆、『ヤブマメ』です。
ヤブマメの実は、
落花生の子房柄のようなツルにつながって地中で生育しています。

落花生は、花が咲き、受粉してから
子房柄が地中へもぐり結実するのじゃが…。

ヤブマメはそうではないんじゃ。
後述するぞえ…
掘り出されたマメ

小さな豆を、土の中から見つけるなんて、
どんなに大変かと思うところですが、思いのほか、見つけやすいです。
瞬く間に、ひとにぎりほどになりました。

土だらけだったので、別な箱に拾い出しました。
ちょっと、キレイなお顔になってます。
さて、美味しくいただきましょう。
調理法
茹でる
ためしに生のままで、かじってみます。
青臭い、まさに生の豆を噛んだ時の味わいです。
でも、エグミやアクは感じないので、加熱すればどんな食べ方でもできそうです。
今回はシンプルにゆでます。
水で、ゴミや土を洗い流します。
固めだし、けっこう大きいものもあるので、10分ぐらい茹でます。
…グツグツ…

調理の様子は
下記の動画で見られます!
薄皮も裂けて、よさそうな感じです。
ちょっとつまんで食べてみました。
充分です。ゆですぎたくらいですね。
あみ杓子ですくい、お皿にうつしました。

ゆでていると、お湯が黒っぽくなってきて、
その色が中の豆にも移り、色がついています。
( なんか、こんな見た目のお菓子あった気がする…。)
本来の豆は乳白色です。
この色の感じはアントシアニンではないかと思います。
お酢をかけてみてピンクになれば、ほぼ確定なのですが、ついつい美味しくて一気に食べてしまました。
ヤブマメは、民間薬的にも薬効はないようなのですが、
嗜好品としても、カロリー源としても、アントシアニンの抗酸化作用も期待できそうです。

…優秀、優秀、…。
ホクホクと、少し粉っぽさもあり、コクのある、
ちょうどアピオスのような風味です。
ゆでピーナッツにも近いかもしれません。
冬を越して、春先に掘り出したほうが、
甘みが増して美味しいということですが、今のままでも十分においしいです。
作物や資材の撤去の時に、細いツルが地面とつながっていたら、
ためしに掘ってみるのもいいですね。

短い動画を作ってみました。
よろしければご覧になってください。
【希代】繁殖方法にちょっとビックリ
驚きの繁殖戦略
なにが、驚きかというと、
ヤブマメには、
開放花・閉鎖花・地中の閉鎖花という三種類の花があって、
それぞれが、利点のある種を作ることができるというところです。
1、開放花
ヤブマメの花といって思い浮かぶ、普通の花です。
ムシなどの行動で別な個体の花粉を受粉し、遺伝子の組み合わせで次世代に変化を期待できるタイプです。


2、閉鎖花
花が閉じていて、他の個体の花粉を受粉できないようになっています。
次世代はクローンになります。
現実に成長し、結実までできた優秀な個体なので、残す価値があるということです。
遺伝子の組み合わせ次第では、さらに優秀な次世代ばかりではなく、うまく育てないものもあらわれる可能性もありますよね。
リスクをさけた実績重視のタイプです。
この上記ふたつが、さやをつけ2㎜ほどの小さな種をつくります。
このさやも、若いうちは食べられるのですが、すぐに硬くなってしまうし、小さすぎるしで、オススメするほどではありません。
3、地中の閉鎖花
こちらの、種が食用にむいているものです。
土の中で閉鎖花をつけて、そこで結実します。
なぜ?そんな! 広い世界に出たくないの~? という感じですが、
実際に親株が成長できた良い環境までを、地上の閉鎖花(実績重視タイプ)が、そのまま受け継ぐという
この『地中の閉鎖花』は、老舗有名店タイプです。(二世議員にも近いかな…。)
一年草ながら、ほぼ確実に、次世代は繁栄を約束されているのです。
すごくないですか?
個人の一回きりの人生のなかで、無謀な夢を追うこともできるし、実績を持って羽ばたくこともできるし、一族の盤石の家業を継いで繁栄もしていけるということなんです。
珍しいと思っていただけましたでしょうか。
畑のヤブマメが駆除しきれないワケに
合点がいきますよね~。

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